ラバー負荷検査とは
ラバー負荷検査は、末梢前庭障害の有無を簡単にスクリーニングすることが出来る検査です。直立姿勢時における身体の平衡は、視覚・前庭・体性感覚からの入力が中枢神経系で処理され、四肢・躯幹の骨格筋に出力されることで維持されます。(下図参照)
ラバー負荷検査では、閉眼によって視覚からの入力を遮断することに加え、フォームラバー負荷で体性感覚からの入力を遮断することで前庭障害の有無を検出します。
ラバー負荷検査の原理。閉眼によって視覚入力を遮断することに加え、ラバー負荷により体性感覚入力を錯乱することで、前庭入力の体平衡に及ぼす影響を評価します。
検査方法
1.被験者を通常の重心動揺計の検査台上に、つま先を閉じた状態で直立させます。そして開・閉眼のそれぞれの状態で、1分間の重心動揺を記録します。
2.被験者をいったん検査台から降ろし、検査台上にフォームラバーをセットします。
3.被験者を両足の踵が接し、つま先が30°開いた状態でフォームラバーの上に直立させます。そして開・閉眼のそれぞれの状態で、1分間直立時の重心動揺を記録します(※)。
※被験者が転倒しないよう十分に注意をしてください。また被験者が直立姿勢を1分間維持できない場合は、その時点で検査を中断し、転倒と判断します。
結果判定
結果は、ラバーを使用した状態で重心移動の速度により算出したロンベルグ率(開眼時と閉眼時の速度の比率:ラバーロンベルグ率)と、ラバー使用時と非使用時における閉眼時の速度比率(速度ラバー比)により末梢前庭障害を判定します。
(右レポートサンプル参照)
ラバーロンベルグ率の末梢前庭障害の検出力は、2.26で末梢前庭障害の感度が90%、2.56で特異度80%、3.1で特異度100%です。
速度ラバー比の末梢前庭障害の検出力は、1.95で感度90%、2.79で特異度80%、3.65で特異度100%です。(Fujimoto et al. 2009)
これら2つのパラメータを使用して、以下のように判定されます。
Aa :前庭障害を有する可能性が非常に高い
Ab :前庭障害を有する可能性が高い
B :前庭障害の可能性がある
C :前庭障害がめまい平衡障害の主因である可能性は少ない
レポートサンプル
対象機種(現行機種)
・GW-31
・GW-5000
※仕様は予告無しに変更されることがございますので何卒ご容赦下さい。