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重心動揺計を用いた重心シフト検査の活用

 

地方独立行政法人 徳島県鳴門病院
医療技術局 出口憲市

1.施設概要について

徳島県北部、香川県西部、兵庫県淡路島南部を診療圏にする、307床 (急性期一般病床,地域包括ケア病床,人間ドッグ) の基幹病院である。その特長としては、手の外科センター・脊椎脊髄センター・糖尿病内分泌センターを開設して、高度な医療を推進しております。また、小児・周産期医療、救急・災害医療など地域に不可欠な政策医療も担っております。一方、令和6年2月に開設した地域包括ケア病棟は、これからの高齢化、介護連携の重要性を先取りして、地域の医療機関、介護施設とも連携しながら、新たな地域完結型医療システムの構築にもチャレンジしております。

2.製品導入のきっかけ

重心動揺計の導入については、筑波大学の鈴木康裕先生のグループとの共同研究が契機となりました。2015年から地域貢献事業として健康教室にて運動指導をしておりましたが、転倒予防の効果について、バランス能力を数値化できる医療機器を探しておりました。そこで、御社の製品を紹介され、トレーニング効果の検証をするようになりました。

3.重心動揺計を用いた研究および臨床でのご活用についての現状および成果

地域貢献事業における健康教室では、有酸素性及び無酸素性の運動効果があるステップエクササイズを実施していますが、持久的効果や骨格筋量の増加効果がみられても、バランス能力が改善しないことが明らかになりました。運動目的として、予防効果と改善効果ではトレーニング内容が異なるということを検証しています。
また、地域在住の健常高齢者とサルコペニアの女性 (70歳代) において、重心動揺計を使用したバランス能力を調査した結果、ほぼ同様の数値であり、近年注目されているフレイルでは大きく低下していることがわかりました。
脊椎脊髄センター患者では、手術前後にも重心動揺計にてバランス能力を評価しております。その結果、多くの方において術後にバランス能力が改善していることがわかりました。一方、改善しない患者にも特徴があることがわかり、現在は運動療法との併用効果についても検証しています。

4.研究における今後の展望

現在、我々が注目しているのはフレイル患者であり、サルコペニアと比較してバランス能力が大きく低下しています。それぞれの状態では、発生に至る機序が異なるため、その部分に注目して研究を進めております。また、その予防効果についても運動療法と医療機器の両面から効果検証を進めております。
一方、転倒には暗闇環境が関連していることが報告されているため、照度計を用いた暗室環境下での重心動揺計を使用したバランス能力を検証しており、予防に最適な夜間の室内照度基準を明らかにする予定です。

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