MW-1000導入事例:東京医科大学 整形外科学 准教授 遠藤 健司先生

東京医科大学 整形外科学 准教授

遠藤 健司先生

 

社会が高齢化してきて、転倒によって骨折や脊髄損傷を起こしてしまって、寝たきりになってしまう人が増えていっている。それをなんとか予防したい。転倒してからではなかなか良くなるのは難しいので、転倒する前の予防が重要です。何を予防するかというときに、歩行分析をすることで、転倒しやすいかどうかを客観的な数字としてデータを出して、こういう状態になると転倒しやすい、それに対して何をしたら良いか、何をした事によって、どう改善しているかをモニターする、診断と治療経過をモニターするという2つの評価、それが重要で活用している。

特に私達の場合は、頚髄症を扱っているので、首が悪くて足の麻痺が出てきて転倒するということが有るので、手術の適用をこういった状況になったら検討したほうが良いという客観的なデータを作るのに使用しています。

実際の病気の診断には、画像診断(MRI)とNurickの分類、ウォークWayの情報などを用いています。

画像診断というのは、機能とイコールでは無いので、圧迫が有っても、機能が落ちていない人や小さな圧迫でも機能が落ちている人が居るので、そういった状態を画像診断の情報を機能的に裏付ける、そういった理由で手術を行うということを診断して、それを第三者にきちんと説明できるということですね。

そうすると、歩行障害のある人は、歩幅が狭くなって、歩隔が広がっている事がわかってきた。患者様のデータが増えてきたので、年齢や身長や男女差によってデータがバラけるため、今回は、60歳台男性の術前に絞ってデータを出した結果、ずいぶんと精密化されたのかなと。今までの研究と比べると、以前の研究は、年齢や身長や男女差を一緒くたになっているのもあり、今回の論文は、精密化させて、より病気の本質に迫ったというところが大きい。

今回の論文については、術前のMRIと術前のウォークWayのデータがどのようにリンクしているかということで、ウォークWayのCOPデータを数学的に加工して、COPの波形が正弦・余弦波に近いことから、COPの軌跡が、正弦・余弦波からどのようにずれると転倒につながるかを見ています。

Q:専門家の目から見て、転倒以外にウォークWayが活用できそうだと思える分野はなんですか。

サルコペニア・フレイルによる影響というのが、転倒と重なってくるかもしれないが、出てくると思う。筋力がアップすると、歩行にどのように影響があるか、プラスの方向へ評価、モニタリングができたら良いのかなと思います。筋力に関しては薬もまだなく、医療がまだこれからの分野である。握力計と歩行速度がサルコペニアの定義に成っているんですが、歩行の部分に関して、サルコペニアを評価するという部分に使えれば良い。

あと、スポーツ医学への適用が考えられる。

 

 

【実計測データ例】

正常歩行

不安定歩行

東京医科大学ホームページより引用(http://www.tmuortho.com/sekitsuiblog/hokoubunnseki/)

 

【参考文献】

  1. T. Nagai, Y. Takahashi, K. Endo, R. Ikegami, R. Ueno, K. Yamamoto, Analysis of spastic gait in cervical myelopathy: linking compression ratio to spatiotemporal and pedobarographic parameters, Gait & Posture 59 (2018) 152-156
  2. H. Nishimura, K. Endo, H. Suzuki, H. Tanaka, T. Shishido, K. Yamamoto, Gait Analysis in Cervical Spondylotic Myelopathy, Asian Spine J 2015;9(3):321-326

 

 

 

 


掲載日
カテゴリ
事例インタビュー
タグ

関連記事

靴式荷重トレーニング装置「ウォーキングアラーム」の導入により 患者様と現場の負担が大幅に軽減しました

ウォーキングアラームの導入事例 靴式荷重トレーニング装置「ウォーキングアラーム」の導入により 患者様と現場の負担が大幅に軽減しました レポート=関西医科大学附属病院/リハビリテーション科 森 公彦先生 …

ラバー負荷検査で前庭機能障害をスクリーニングし、 内耳性めまいか、脳からくるめまいかの振り分けに役立ちます

内科分野での重心動揺計の導入事例 ラバー負荷検査で前庭機能障害をスクリーニングし、 内耳性めまいか、脳からくるめまいかの振り分けに役立ちます 2012年11月にグラビコーダGP-7(ラバー負荷検査付) …

初診時、めまいの鑑別診断をグラビコーダがサポートします

内科分野における重心動揺計の導入事例 専門外来と最新機器を導入し、 地域の皆様へ「人にやさしい医療」で貢献 東京都練馬区錦に立地する麦島内科クリニック。こちらの医院では、めまいや平衡機能障害の評価・判 …

ミュータスの導入事例:介護予防はまず自分の身体について知ってもらうところから 杏林大学保健学部理学療法学科の取り組み

筋力計ミュータスの介護予防事業への導入事例 介護予防はまず自分の身体について知ってもらうところから 杏林大学保健学部理学療法学科の取り組み 東京都三鷹市にキャンパスをもつ杏林大学は近年、「新しい都市型 …

重度の障がい者の生活を改善する、さまざまな取り組みに活用されるアニマの製品

動作分析総合システムの導入事例 重度の障がい者の生活を改善する さまざまな取り組みに活用される アニマの製品 横浜市総合リハビリテーションセンター 横浜市の指定管理者として社会福祉法人横浜市リハビリテ …