ヒトは知らず知らずのうちに身体のバランスを保っています。その身体のバランスの保持の状態を客観的に表現したモノが重心動揺です。ヒトの重心保持機能は、様々な心理的・精神的負荷に影響され、容易に変動することが知られています。
■重心動揺検査とは?
重心動揺検査は直立起立姿勢に現れる体重心の揺らぎを測り、そのパターンやデータから、平衡機能を評価するものです。
身体平衡の維持に働く系、すなわち、視覚系、前庭・半規管系、脊髄固有反射系、および、これらの系を制御する中枢神経系の機能を検査します。
検査方法については、被験者に計測装置をつけることなく、検査台上に起立させるだけで行える検査です。
臨床における、めまい・平衡障害の診断を目的として行われるほか、直立姿勢制御機能の研究、肢体障害者の起立機能の検査、スポーツマンの直立機能の観察、職業適性の検査、疲労の測定などの評価・研究に幅広く利用できます。
■重心動揺計の目的
・生体のバランス能力を定量化します。
・重心の揺れの速度、広がり、方向性、周波数といった特徴を抽出します。
・揺れの特徴から、バランスに関わる機能障害や機能低下部位を推定します。
■どう役立つのか?
めまい、ふらつきといった平衡機能障害を訴えている方の揺れの特徴から、障害部位の推定ができますので、診断の一助となります。
バランス機能が客観的な数値として表わされますので、手術、投薬、訓練等の効果判定や経過観察が可能です。
転倒予防のための静止バランスの基礎データになります。(動的バランスは下肢荷重計で計測できます)
■対象となる疾患
末梢前庭系の疾患 | 耳鼻咽喉科 (メニエール病、良性発作性頭位性眩暈症、前庭神経炎、聴神経腫瘍、 めまいを伴う突発性難聴etc) |
中枢性疾患 | 脳神経外科、神経内科 (小脳梗塞、多発性脳梗塞、椎骨脳底動脈循環不全症、脊髄小脳変性症、 脳腫瘍、脊柱管狭窄症、パーキンソン病etc) |
その他の平衡障害を 有する疾患 | 一般内科、循環器内科 (高・低血圧症、糖尿病etc) |
■参考文献
重心動揺検査 -その実際と解釈- [2010年12月改訂版]
岐阜大学名誉教授
岐阜市民病院名誉院長
時田 喬 先生
次回の「わかる重心動揺計シリーズ」は、実際の重心動揺検査時の手順と注意事項をご紹介いたします。
重心動揺計 グラビコーダ GP-31のページはこちら
重心動揺計 グラビコーダ GP-5000のページはこちら
お問い合わせはこちらよりお願いいたします。